SOUND TREASURE
ちょっと大人な音楽レーベル
今川義元が加賀百万石金沢の小立野で家臣を集めて結城禿晴討伐を軍議にかけていた頃、結城禿晴は新しいカツラを探しに行く為の旅支度をしていた。
禿晴はまだ尿道カテーテルを付けたままだが、しばらく加賀を離れることに決めたのだ。
寒雲太夫と鶴見美川守薄毛にカツラを簡単に見破られた事でしばらく加賀を離れる決心が着いた。
さて、その頃美濃国の斎藤道三が胸を撫で下ろしていた。
変なクスリを服用して隔離されている濃姫の代役が決まり、来年の末の本能寺の変が決行される目処が着いたのである。
美濃国の斎藤道三の元には明智光秀もいた。
斎藤道三が、
「光秀、濃姫が迷惑をかけたのお。来年末の本能寺の変が決行されると聞いてほっとしたわ。良かった良かった。」
光秀は、
「いやあ、どうなる事かと思っておりました。しかしそれも喜んではいられないのでございます。」
道三が、
「どうしてじゃ?何かまた不都合なんことでもあるのか?」
光秀は、
「いやあ、信長を討った後をなんとかしたくてはならんのです。」
道三が、
「ああ、三日天下の事か。ソチのお陰で生まれたような言葉じゃな。ワッハッハッハー!」
と笑い飛ばした。
光秀は、
「それが良くはないのです。今回は四国から飛んで帰ってくる秀吉をなんとかしなくてはならないのです。道三殿、何か良い策はござらぬか?」
道三は、
「そうじゃのお。秀吉の足を止めねばのお。」
光秀は、
「拙者は今それを考えておるのです。」
このような会話を交わしている頃
隣国の織田信長は濃姫の代役が決まったことに苛立ちを隠せなかった。
「サルー!サルー!」
と大声で秀吉を呼び、
「来年末の備中高松城の水攻めを一日で終わらせるのじゃ!必ずそうしろ!明智光秀が本能寺に攻めて来る前に帰ってくるのじゃ!」
すると秀吉は、
「御館様、では備中高松城に行くのを後にすれば良いのではございませんか?」
信長は、
「おっ、そうじゃな!ワシもそれには気付かなかった!そうじゃな!」
と言うと大声で、
「蘭丸!良い事を思いついた!蘭丸、来年末は死ななくてもよいぞ!蘭丸、来るのじゃ!」
と蘭丸を呼んだ。
蘭丸は飛んで来て、
「御館様、どうなされました!」
と聞くと、
「来年末の備中高松城の水攻めは後にしてサルを本能寺に守らせる事にした!サルが思い付きよったのじゃ!どうじゃ?いい案ではないか?」
と聞くと蘭丸は、
「何を御館様は言われる!来年末は私も御館様も明智光秀に討たれなけれぱ仕事にならぬのです!ギャラが入って来ないどころか来年末を迎える前に炎上してしまうではありませぬか?ここは大人しく討たれなくてはなりませぬ!」
信長は、
「えっ、なんとかならぬのか?来年末に討たれる事を考えて過ごすのは嫌でな!」
と言いながらもギャラの事を考えてボソリと、
「仕方ないのかのお。」
と漏らした。
さて、その頃加賀国でも結城禿晴が漏らしていたが尿道カテーテルを付けたままなのでこれは全く問題ない。
結城禿晴は軽トラのガソリン満タンにして国道8号線を越前福井に向けて走らせていた。
向かうは朝倉義景がいる一乗谷。
歌を嗜む禿晴は、
「♪松任ねん 松任ねん 加賀の千代野で松任ねん〜♪」
と訳の分からぬ歌を歌っていた。
そして加賀と福井の境目、牛ノ谷峠で車を停めて加賀の方を向き、
「今川義元、討てるものなら討つがよいー!」
と大声で叫んだはいいが、また漏らしてしまい尿道カテーテルの尿袋はほぼ満タンになってしまった。
その牛ノ谷峠で禿晴はある一台の車とすれ違っていたが気付いていなかった。
それは赤い車だった。
その赤い車に乗っていたのは、今は居所を明かしていない、叶丸子太夫だった。
やはり歌を嗜む太夫で結城禿晴とも一緒に歌会などで顔を合わせていた。
さて、その叶丸子太夫、牛ノ谷で禿晴とすれ違った事に気付いていた。
この叶丸子太夫、以前に禿晴に刺客を送った事がある。
その理由は定かではないが、禿晴は足に西瓜をくくりつけられて海に沈められそうになった事があったそうな。
結城禿晴と叶丸子太夫の間にはきな臭いものがあった。
しかしこの時、叶丸子太夫は迷っていた。
禿晴と牛ノ谷ですれ違った事を誰かに伝えるか否か。
今や、加賀、越前では今川義元と結城禿晴の険悪な関係を知らない者はいない。
叶丸子太夫もやはり知っていたのだ。
さて、叶丸子太夫は鶴見美川守薄毛と同じく、ラジオ番組を持っており、この日もその収録の帰りだった。
この叶丸子太夫について少しお伝えしておこう。
歌を嗜む際の芸名は叶茉利子、近頃はマリーKと名乗っている。
その
現在はアルバム制作中で、代表作は「TSUBAKI」。
Amazonでも販売している。
TSUBAKI https://www.amazon.co.jp/dp/B01M66M78N/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_a394Db6H3VJFC
叶丸子太夫、赤い車を走らせながら結城禿晴の情報をどこに売ればいい金になるか考えていた。
しかし今は身を隠しており、表に出たくないから簡単に禿晴の情報を提供する事が出来なかったのだ。
だから禿晴は救われた。
叶丸子太夫は、よく考えてからにしようと決めた。
そして腹が減ったので加賀の8番ラーメン本店で食事をした。
そこで腹いっぱいになった叶丸子太夫はすっかり禿晴の事を忘れてしまい、「♪ブンブンブンブンブンブン♪」と自分の曲、「BOOM BOOM BOOM」を歌い赤い車を飛ばして百万石金沢に向かった。
叶丸子太夫は満腹中枢機能が満たされたら全てリセットされるという特殊な機能を兼ね備えていた。
結城禿晴、8番ラーメンにも救われたことになる。
そのような事を何知らず禿晴は、
「♪松任ねん 松任ねん 加賀の千代野で松任ねん♪」と歌いながら軽トラを走らせていた。
さて、その頃、加賀百万石金沢に、武田信玄の庶子として生まれ、武田家を引き継ぐことになった武田勝頼が今川義元の元を訪れていた。
結城禿晴討伐で今川義元が武田信玄に援軍を出すように書状を送り、それを読んだ戦好きの信玄がその気になっているのを危うく思った勝頼は、なんとかこの戦を収めなくてはと思い金沢百万石金沢の今川義元の元を訪れたのだ。
さて、この今川義元と結城禿晴の争いは収まるのか?
武田勝頼の願いは叶うのか?
美濃国の斎藤道三と明智光秀は来年末の「本能寺の変」の決行を祝い、尾張では織田信長が「本能寺の変」の前に明智光秀を葬ろうと企てを計っていた。
きな臭い世の中になり、戦国時代がまた訪れようとしていた。
つづく